東京農業大学 x 経堂コルティ 未来の子どもたちのために、食材の旬と安心の知恵を知りましょう! すくすくコルティーレ

季節の変わり目にカラダを助ける なばな(菜花)

【安心ワンポイント】 無農薬表記のある商品もありますが、念のためていねいに流水のなかで水洗いするのが基本です。茎のなかでも堅い部分を切り落とします。塩を加えた熱湯に茎の部分から入れて、さっとひと回しして引き上げます。おひたしなどは、ゆがく時にアクや有害物質などが溶け出します。炒め物は熱湯にさっと通してから使います。

なばな(菜花)は“黄色のつぼみと花茎”、“緑の若葉”で、春の訪れを告げ、早春の食卓を飾る風雅な野菜です。穂先はほろ苦く、独特の風味があります。この苦味、渋味の多くはポリフェノール成分で、ホルモン分泌を活性化します。また胃液の分泌を促進し、消化を良くします。
風邪などの病気に対する免疫力を高めるビタミンCは野菜の中でもトップクラス。ビタミンEやカロテンなどの抗酸化作用の高い成分を豊富に含んでおり、その相乗効果が期待出来ます。
赤血球のもとになる鉄分や血液を作るのを助ける葉酸も多く貧血を予防します。
さらに、骨粗しょう症の予防や抗血栓作用があるビタミンKが多いのが特徴です。体全体を健康に保つ栄養素がバランス良く含まれている野菜です。
茹でておひたしや和え物が一般的ですが、炒めても美味しく食べられます。
栄養分豊富な旬の“なばな”を、ぜひとも食べ忘れのないように。

選び方のポイント

束ねられた切り口がみずみずしく、茎は細めで花が開きすぎていないもの。花の黄色が鮮やかで、つぼみの部分が堅く締まり開く寸前のものが新鮮です。花が咲いたものは避けます。
葉や茎の色も緑色が濃く、全体に張りがありあざやかで、みずみずしいものが新鮮です。つぼみは2~3日で開いてしまうので早目に使いきりましょう。

かしこい保存方法

買ってきたらすぐに、結束されている帯をはずし水に生ければ、2~3日は常温保存が可能です。しおれるので風に当てないように注意が必要です。
冷蔵庫で保存する時は湿らしたキッチンペーパで包みポリ袋に入れ、野菜室に立てておきます。あまり日持ちする野菜ではないので、早めに使いきりましょう。

茹で方のコツは葉が柔らかいわりに茎がしっかりしたものが多いので、穂先の部分と茎とを切り分けて別々に茹でるとよいです。
塩を加えた熱湯に入れ茹であがったらすぐに冷水に浸します。冷凍する場合は、さっと塩ゆでしたものをラップで小分けしたものを急冷します。食べ方は茹でてから、おひたし、からし和えや胡麻和えなどの和え物、椀種などにします。炒めものやオードブルなどの洋風に使うことも多くなりました。
長期保存用として京都名産の「菜の花漬け」「菜の花の西京漬け」「菜の花のカラシ漬け」などの漬物にも最適です。

徳江千代子 東京農業大学客員教授 「食品の保蔵・加工における多様な食品機能」をおもなテーマに研究を続ける。野菜や果物の成分、栄養、保存方法、食品の賞味期限や保存方法等に詳しい。著書「野菜がいちばん」(いしずえ)、監修書「賞味期限がわかる本」(宝島社)、「野菜と果物を安心して食べる知恵」(二見書房)等、他多数、日本テレビ「世界一受けたい授業」、TBS「はなまるマーケット」等多くのメディアに出演。

バックナンバー