東京農業大学 x 経堂コルティ 未来の子どもたちのために、食材の旬と安心の知恵を知りましょう! すくすくコルティーレ

ビタミンCが淡色野菜中トップクラスのキャベツ

【安心ワンポイント】 キャベツは内側から新しい葉ができて外側へ育ちます。農薬が繰り返しかけられているおそれのある外葉は1、2枚取って捨てる方が無難です。ほかの葉は芯の部分を取り、流水で1枚ずつ丁寧に洗い、ざるの上にのせて広げ、熱湯をかけて水気を取ります。こうすれば外葉に近いものでも農薬はかなり除けます。

キャベツはおもに冬の間に出回る、球が堅く締まった甘味の強い冬キャベツと、3月から旬を迎え、巻きが柔らかくみずみずしさが魅力の春キャベツがあります。
外葉の緑の部分にはカロテンが豊富で、アミノ酸やカルシウムもたくさん含まれています。また、外葉と芯の周りには風邪やストレス対策に有効なビタミンCが豊富で、淡色野菜中トップクラスです。大きな葉2枚で1日分のビタミンCが摂れます。
止血作用や骨作りに重要なビタミンKや、高血圧の進行を抑えるカリウムなどのミネラルや食物繊維を多く含むので整腸作用もあります。特徴的な栄養素はビタミンU(キャべジン)で、胃腸の粘膜の修復を助け、胃潰瘍の予防に有効です。
ビタミンCやUは水に溶けやすく熱に弱いので、これらを効率的に摂るのに一番良いのは生ジュースですが、炒めても、煮込んでも、浅漬けや生食でも美味しく食べられます。
万能なキャベツを様々な料理で楽しみましょう。

選び方のポイント

春キャベツは芯の部分が小さく、葉の中まで緑がかっていて、柔らかく弾力性のあるものを選びましょう。
甘味の強い冬キャベツは、外側の葉が鮮やかな緑色でつやがあり、球がしっかり巻いていて、ずっしりと重いものがおすすめです。
加熱してもくずれず、甘味が増し、風味が出ます。根元の軸がきれいに五角形になっているものが、しっかり育った証拠です。
芯の切り口が新しく、変色、褐変していないものが新鮮です。
上部や根元が割れたものは古くなったものなので避けます。
花の咲く茎が伸びることを「トウが立つ」といいます。春に出回るキャベツでトウが立ちはじめたものは、栄養分を花に取られてしまうため味が落ちます。
また苦味が出るので、カット野菜の場合は芯の高さが3分の2以下のものを選びましょう。

かしこい保存方法

キャベツは比較的保存性が高い野菜です。しかし、高温下では呼吸作用が活発になり糖分が減少することから味、栄養価が落ちます。特に呼吸熱が内部にこもると品質低下をもたらすので、低温下で保存することが必要です。
切り口から傷みやすく、乾燥も進むので、なるべく丸のまま買って、外側から食べましょう。外側の葉を使ってくるんでおくと長持ちします。

丸1個の場合、傷んだ外葉を取り除き、芯の周りに包丁の先を斜めに差し込んで回し、三角帽子型に芯をくり抜きます。
半割の場合、芯の両側に斜めに切れ込みを入れて切り取ります。芯から傷むので、芯をくり抜いたところへ濡らしたペーパータオルを詰め、新聞紙もしくはペーパータオル、外葉等でくるんでから、ポリ袋に入れて野菜室で保存します。芯に詰めたペーパータオルを毎日交換するとより長持ちします。

冷凍保存する時は、下処理後、千切りにして生のまま保存袋に入れ、空気を抜いてから冷凍。千切りを塩もみにして水分を絞ってから冷凍。葉、芯、軸に分けてざく切りにし、塩を加えた湯で硬めに茹で、水分を切って冷凍にします。
漬物で保存する時は、糠漬け、塩漬け、サワークラウト(発酵させて酸味を出す)など数多くの方法があります。
干して保存する時は、冬キャベツ限定です。芯をつけたまま薄めのくし切りにし、天日干しか、陰干しで乾燥させます。水で戻してから炒め物などにすると美味しくいただけます。春キャベツは水分が多く腐りやすいため干すのに向きません。

徳江千代子 東京農業大学客員教授 「食品の保蔵・加工における多様な食品機能」をおもなテーマに研究を続ける。野菜や果物の成分、栄養、保存方法、食品の賞味期限や保存方法等に詳しい。著書「野菜がいちばん」(いしずえ)、監修書「賞味期限がわかる本」(宝島社)、「野菜と果物を安心して食べる知恵」(二見書房)等、他多数、日本テレビ「世界一受けたい授業」、TBS「はなまるマーケット」等多くのメディアに出演。

バックナンバー