東京農業大学 x 経堂コルティ 未来の子どもたちのために、食材の旬と安心の知恵を知りましょう! すくすくコルティーレ

鉄分・カロテン・ビタミンCたっぷりのほうれんそう

【安心ワンポイント】 水洗いをていねいにします。ボウルに水を流しながら数分つけておき、茎や葉を数回手でこすり洗いし、付着している残留農薬や泥などをよく落としましょう。塩を加えた熱湯に茎から入れ、ひと呼吸おいて葉も湯にひたし、さっとゆでます。冷水にとって水を流しながらアクを抜きます。

ほうれんそうは、緑黄色野菜のなかで抜群の栄養価をほこります。牛レバーに匹敵するほどの鉄分と、鉄の吸収を高めるビタミンCも多く含まれているので貧血予防が期待できます。カロテンは抗酸化作用があり、疲れ目や視力低下を防ぐのに期待できます。「貧血に悩んでいる人」や「どうも元気がでないという人」などに最適です。また、豊富に含まれる葉酸は、ほうれんそうの葉から発見されたため名付けられ、造血作用や子供の成長に欠かせません。口臭などを消す浄化作用のある葉緑素もあります。

一年中お店で購入できますが、夏と冬とでは栄養成分に差があります。夏取りより冬取りの方がビタミンCは約3倍、糖分は約2倍に増すので、これから霜がおりるくらいの寒い季節がおすすめです。おひたし、胡麻あえ、ピーナツあえなどにして、毎日少しずつ食べたい食材です。

選び方のポイント

霜に当たって甘味が増す11~3月において美味しいものが出回ります。葉の緑色が濃く、葉肉が厚くピンと張って、切り口が新鮮で太りすぎない露地栽培ものを選びましょう。株が小さく、茎の部分も短めのものを選びます。黒ずみや黄色い葉が混じっているものは古いので避けます。店頭で水につけて蘇生させているものは傷みやすいので早めに使い切ります。
根元の赤みの濃いものは甘さが強く、ペタシアニンというポリフェノールを含んでいるほか、骨の形成に重要な役割を果たしてくれるマンガンが豊富に含まれているので捨てずに食べましょう。

かしこい保存方法

寒さに比較的強く-4~-5℃位まではそのまま耐えられます。しかし葉の表面から水分が蒸散しやすく、葉もの野菜の中でも、特に鮮度が落ちやすい野菜です。安いからとまとめ買いをしても早く使い切らないと傷んでしまうので注意しましょう。2~3日なら新聞紙かペーパータオルに包みポリ袋に入れ、野菜室か冷蔵庫のポケット部分に立てて保存します。

使い切れない時は迷わずゆでて冷凍保存します。冷凍保存するときは、ごく短時間ゆでましょう。塩を加えた熱湯で茎から入れて、さっとゆで、冷水にさらして水分を絞ったら、食べやすい大きさに切るか細い棒状にしてラップで小分けにして急冷します。凍ったら保存袋に移しましょう。凍ったままスープやソテーに使えば、調理のスピードもアップします。

干して保存するときは、根の部分の土が残らないように、1株をいくつかに分けて洗い、根元を上にして吊り下げて陰干しにします。下処理後にみじん切りにして、ざるに干してもよいでしょう。みじん切りにした干し野菜は汁ものなどに入れると便利です。

徳江千代子 東京農業大学客員教授 「食品の保蔵・加工における多様な食品機能」をおもなテーマに研究を続ける。野菜や果物の成分、栄養、保存方法、食品の賞味期限や保存方法等に詳しい。著書「野菜がいちばん」(いしずえ)、監修書「賞味期限がわかる本」(宝島社)、「野菜と果物を安心して食べる知恵」(二見書房)等、他多数、日本テレビ「世界一受けたい授業」、TBS「はなまるマーケット」等多くのメディアに出演。

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