東京農業大学 x 経堂コルティ 未来の子どもたちのために、食材の旬と安心の知恵を知りましょう! すくすくコルティーレ

お肌や眼のうるおいに期待できるにんじん

【安心ワンポイント】 にんじんは流水でよく洗い、取りきれない泥は使い古しの歯ブラシなどでこすって落とします。泥つきにんじんは、水にしばらく浸けてからタワシで軽く洗いましょう。スーパーなどに並んでいるニンジンは、薄皮がむかれた状態なので、ピーラーなどでむかなくても大丈夫です。カロテンなどの栄養素は皮や皮のすぐ下に集まるので、皮をむく場合はうすく削る程度でかまいません。

にんじんは代表的な緑黄色野菜で、英語名「キャロット」が「カロテン」の語源となるほど「ベータカロテン」が豊富です。カロテンは強い抗酸化作用を発揮しますが、体内でビタミンAに変化し、油との相性が良く、一緒に食べるとビタミンAの吸収率が高くなります。ビタミンAは肌のうるおいに役立ち、皮膚や粘膜を正常に保つ働きがあるため、肌荒れ防止効果や、目の角膜のうるおいを維持し、眼精疲労やドライアイ予防などの効果も期待できる野菜です。カロテンは生にんじんの皮にたくさん含まれているので、皮ごと調理しましょう。にんじん50g(約1/2本)で、成人1日分のカロテン必要量が摂取できるので、和食、洋食、中華と料理法を工夫して、毎日少しずつでも食べたい食材です。

選び方のポイント

食べごろは5~6月に出回る「新にんじん」と「冬にんじん」の出始める11月ごろ、また2月頃の「露地栽培」ものがおすすめです。柔らかく甘味のある「新にんじん」は生食やサラダに向いています。独特の赤みがあり、表面にツヤとハリのある滑らかなもので太りすぎないものを選びます。オレンジ色が濃いものほどカロテンが豊富です。首の周りが黒ずんだものや青色や茶色のものは傷んでいるので避けます。また、葉の付け根の断面積が小さく、切り口が緑色で茎が細く、ひげ根が少なく、先端が傷んでいないものを選びましょう。

にんじんの葉もたべましょう。春には葉付きにんじんも出回ります。根に比べて葉には、ビタミンCが15倍、ビタミンB1が2倍、ビタミンB2は13倍も含まれています。パセリのように散らしたり、てんぷらやお浸しにして食べましょう。

かしこい保存方法

保存ポイントは湿度です。夏と冬では保存方法が違います。夏は蒸れないように冷蔵庫に、冬は乾燥に気をつければ常温保存ができます。

冷蔵:濡れたままにしておくとそこから腐ってしまいます。ビニール袋に入っているものは一度出して水分を拭き取り、ペーパータオルや新聞紙に包み、さらにビニール袋にいれ野菜室で保存します。

冷凍:8mm程度の輪切りにし、硬めにゆでて水気を取り、急冷して保存袋に移します。厚く切ると解凍時にスカスカになるので注意しましょう。生のまま冷凍する場合、千切りか1mm程度の薄切りにして急冷します。

常温:泥つきは泥をさっと落とし、葉付きの場合は葉を切り落として紙袋などに入れ冷暗所で保存します。また、土に浅く埋めておくと長持ちします。葉は保存袋に入れ冷蔵するか、吊るして乾燥すればパセリの代わりになります。

干す:薄切り、千切り、乱切りなどお好みの形に切って、日干しにして乾燥させます。歯ごたえを出すため皮はついたままにします。漬物や煮物のほか千切りにしたものを炊き込みご飯に入れてもおいしいです。

徳江千代子 東京農業大学客員教授 「食品の保蔵・加工における多様な食品機能」をおもなテーマに研究を続ける。野菜や果物の成分、栄養、保存方法、食品の賞味期限や保存方法等に詳しい。著書「野菜がいちばん」(いしずえ)、監修書「賞味期限がわかる本」(宝島社)、「野菜と果物を安心して食べる知恵」(二見書房)等、他多数、日本テレビ「世界一受けたい授業」、TBS「はなまるマーケット」等多くのメディアに出演。

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