トマトの赤は抗酸化力が期待できるリコピン
「トマトが赤くなると医者が青くなる」と言われるように、トマトには体に良い成分がたくさんあります。なかでも、トマトの赤色の色素であるリコピンは、強い抗酸化力を持ち活性酸素を抑えたり、メラニンの生成を抑制したりといった働きが期待できます。リコピンは油に溶けやすく熱に強い性質があるので、油を使って加熱料理をすることで吸収力が高まります。トマトとオリーブオイルの組み合わせが多いイタリア料理は、その理にかなっています。また、トマトには旨味成分のグルタミン酸が豊富に含まれているので、カレーやシチューなどに加えるだけで味にコクが出ます。ほど良い酸味と甘みのバランスと、肉質がしっかりしていることから、生食以外に様々な調理方法で、美味しく食べられるという特徴があります。大いにいただきましょう。
選び方のポイント
トマトは通年、市場に出回っていますが本来の旬は7~8月です。季節によって味が違い好みも分かれるところです。夏場の露地ものはトマトらしい匂いもあり、味も良く、値段も手ごろです。コクのあるトマトは秋に採れます。
全体に赤く、ハリとツヤがあって、見た目よりずっしりと重さのあるものは、果肉が緻密で甘みがあり食べ応えがあります。お尻の部分から白い筋が放射状にきれいに出ているものほど糖度がありますが、ヘタの近くに傷やヒビのあるものは味が落ちているので要注意。カットしているトマトの場合は断面をチェックし、ゼリー部分の詰まっているものを選びましょう。
色により大別をすると、桃色トマトは甘味に富みトマト臭が少なく生食用に。赤色トマト、黄色トマトは、酸味が強くジュースや加熱料理用に適しています。
かしこい保存方法
トマトは中南米原産なので、乾燥と高温には耐えられますが、低温には弱い野菜です。ナスやキュウリ、メロンと同じで5℃以下では低温障害を起こします。完熟したトマトはポリ袋やパックのまま冷蔵庫の野菜室での保存は可能ですが、青い部分が残っている未熟なトマトは貯蔵温度が15~25℃なので、冷蔵庫に入れず常温で追熟させます。食べる直前に氷水で冷やすのが最も美味しい食べ方です。
常温:「冬はくさい」は新聞紙に包んで冷暗所に立てて常温保存できます(「夏はくさい」は不可)。半割したものは常温保存できません。
成長を止めるために必ず芯を切り取ってからラップで包み、野菜室で冷蔵しましょう。
冷蔵:トマト同士がくっついたままだと、その部分から傷みやすくなります。1個ずつペーパータオルに包み、ヘタの部分を下にして冷蔵庫用保存袋に入れ、野菜室で保存します。
冷凍:丸ごと冷凍すると、解凍するときに皮が簡単にむけます。また、皮をむいてざく切りにしたものを、冷凍庫用保存袋に入れて冷凍しておけば、ソース作りに便利です。
干す:よく洗って水気を拭き取り、輪切りや半切りなどにします。軽く塩を振り、天日干しで乾燥させます。半切りにしたトマトは、輪切りに比べ水分が抜けにくいので、腐らないように注意しましょう。