成城を歩く

お茶屋坂

長い坂道のてっぺんに歴史の偉人が愛した茶室を偲ぶ

「橋」や「緑地」とともに、成城の街でよく出会うのが「坂道」。特に、国分寺崖線の斜面に位置する三丁目・四丁目の西側には、多くの坂道が存在します。まずは、喜多見不動尊のそばにある「不動坂」。四丁目の緑地に沿ってゆったりと曲折し、野川の近くまで下ります。成城学園前駅から一本道で続き、砧中学校と成城3丁目の間を抜けて世田谷通りへと出る長く緩い坂道は「病院坂」。そのほか、三丁目の各緑地内にも「ヘビ坂」「なかんだの坂」などさまざまな坂道があります。

各々ユニークなネーミングに、勾配も長さもバラエティ豊かな成城の坂道。そんな中、特に急で長く、真っ直ぐなのが、三丁目、明正小学校近くの住宅街を突っ切る「お茶屋坂」です。道幅は自動車が通行できないほどの細さ。坂の頂上に立てば、眼下に遠くぼんやりと坂の終点が見下ろせます。「お茶屋坂」というどこか風流な呼び名は、江戸時代初期、この地域一帯を治めていた喜多見氏の一族・幕府のお目付き役を務めた喜多見重勝という人物の茶室がここにあったことに由来するのだとか。今でこそ茶室の面影は見られませんが、坂道を下る際は、重勝がお茶を愉しみながら眺めたであろう遠景を、ぜひ思い描いてみてください。

お茶屋坂

世田谷区成城3-13、3-15の境
アクセス/小田急線「成城学園前」駅より徒歩約10分

詳細MAP